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横断幕などによく使われる布素材、ターポリンとトロマットの違いについて
横断幕などによく使われる布素材、ターポリンとトロマットの違いについて

\目次/

● ターポリンとは

● トロマットとは

● ターポリンとトロマットの違いについて

● まとめ

 

スポーツ観戦の横断幕、店舗や各種イベントなどの展示物の素材としてよく挙げられるターポリンとトロマット。よく似た用途で使われることの多い両素材ですが、実は材料から全く違うものでできており、その性質は全く違います。

ここではターポリンとトロマット、それぞれどういった素材なのか、どのような違いがあるのかを解説していきます。

 

ターポリンとは

そもそもターポリンとは、英単語「tarpaulin(防水シート)」から取られた言葉です。大昔のこと、欧米ではタール(tar)を塗った防水布(paulin)を船の防水シートとして用いていました。それが転じて現代では、耐久性の高い防水シート全般を指してtarpaulinと呼ぶようになったのです。

そしてtarpaulinという言葉は、日本に伝わってからさらに、微妙に意味を変えることとなります。現在、日本におけるターポリンとは、ポリエステルやナイロンといった、化学繊維織布の両面を樹脂(主に塩化ビニル)でコーティングした生地のことを指します。さらには織布に限らず、合成皮革の表面を樹脂コーティングしたものもターポリンと呼ぶ場合があります。

丈夫さ

ターポリンの特徴としてまず挙げられるのが、その丈夫さです。ターポリンは織布の両面を樹脂で覆った三層構造となっており、人力では簡単に引き裂けないほどの耐久性を持っています。また防水性能や対紫外線性能が非常に高く、屋外で雨ざらしにするような使い方をしてもなかなか劣化しません。使う状況にもよりますが、雨ざらしのままでも概ね三年程度は、耐久性を保ったまま使い続けられます。もちろん、雨風の当たらない屋内利用の場合は、さらに耐用年数が上がります。

ターポリンは、織布の表面をコーティングする樹脂によって、様々な用途に対応します。多くのターポリンは基本的な防炎性能を持っており、中には耐油性能や耐薬性能などを高めたターポリンも存在しています。

手頃な価格

ターポリンの優れた点としてもう一つ、安価な点が挙げられます。一例として、店舗の装飾やイベントなどで使われることの多いスタンダードサイズ(1800mm×600mm)のターポリンは、1万5,000円から2万5,000円程度で手に入れることが可能です。製品の運用可能期間を鑑みると、ターポリンは非常にコストパフォーマンスの高い素材といえるでしょう。

ターポリンは、大判で利用することが一般的な素材であるため、幅10数メートルといったような大きな生地も簡単に用意することが可能です。大きな生地でもわざわざ特注せず手に入れられるため、横断幕のような巨大なものでも価格を抑えて作成できます。

ターポリン製品を使う際の注意点

ターポリン製品を利用する際の注意点として、まず挙げられるのがその重量です。ターポリンは化学繊維に樹脂をコーティングするという製法の都合上、どうしても重くなってしまう傾向にあるのです。そのため、頻繁に持ち運ぶものをターポリンで作成する場合は、持ち運びについてあらかじめ検討しておく必要があります。ターポリンには運搬性を向上させた「軽量ターポリン」というものも存在するため、場合によっては、そうしたものの利用を検討しても良いかもしれません。

もう一つ、ターポリン製品を利用する際の注意点として、折りたたみにくい点が挙げられます。ターポリンは、裏表が樹脂素材で覆われているため、無理に折り曲げてしまうとひび割れが発生しやすいです。場合によっては塗装面が傷んでしまうため、取り扱いは慎重に行う必要があります。(各お客さまによりご利用シーンが異なりますが、その都度短期的にその場その場で使う場合は気にしないで折り畳むお客さまもいらっしゃいます。)

持ち運ぶような際は、折りたたむのではなく、ロール状にして運ぶようにしましょう。

もう一つ注意しておきたいのが、ターポリン製品は廃棄する際、廃棄コストがかかるという点です。日本においてターポリンは産業廃棄物に分類されており、通常のゴミ出しでは回収してもらえません。廃棄する際は各都道府県の条例に従って行う必要があり、場合によっては産業廃棄物処理業者に依頼して回収又は持ち込む必要が出てきます。

 

トロマットとは

トロマットとは生地の一つで、ポリエステル100%の平織り布素材のことを指します。同じくポリエステル100%の布素材、テトロンポンジに比べ、やや厚く、重めに作られているのが特徴です。トロマットはその厚さから、折りたたんでも非常にしわ、折り目が付きにくい特性を持ちます。

高い耐久性を持つ

トロマットの優れた点として、布素材には珍しく、屋外で雨ざらしにするような使い方をしても劣化しにくい点が挙げられます。これはトロマットの素材であるポリエステルが非常に乾燥しやすく、また摩擦にも強いという特性を持っているためです。さらにポリエステルは繊維自体が紫外線に強く、特にUV加工をしなくても紫外線による劣化をしにくい特性を持っています。

トロマットは、ポリエステル生地の中でも特に厚手に作られており、物理的な強度もある程度担保されています。そのため、屋外に設置したままでも3ヶ月~半年程度、屋内での利用だと1年以上、劣化することなく設置し続けられるとされています。

発色が良い

もう一つ、トロマットの優れた点として挙げられるのが、染色や印刷と非常に相性がいい点です。衣類の素材としてよく用いられる事からわかるように、ポリエステル素材は染料の発色が非常に良いという特徴を持っています。複雑な模様や文字の表現も、非常に滲みにくく、繊細に施すことができるため、横断幕やタペストリーといった鮮やかな装飾が必要なものを作成するのに適しています。またトロマットは厚手であるため、白地でも背景が透けにくく、設置する場所を選ばないという特性も持っています。

非常に安価

トロマットは、ポリエステルという極めて一般的な素材を用いて作られており、非常に安く手に入れることができます。用途の多いスタンダードサイズ(1800mm×600mm)のトロマット生地は、大体6,000円~7,000円程度で取り引きされており、それ以下、それ以上のサイズでも、わざわざ特注することなく購入することが可能です。

これらの特性からトロマットは、店舗やイベントなどでの展示物、スポーツ観戦の横断幕などによく使用される、人気の布素材となっています。

トロマット製品を使う際の注意点

トロマット製品を用いる際の注意点として、あまり長期間の屋外設置には向かないという点が挙げられます。いくら丈夫といっても通常の布素材を用いて作られた生地には変わりなく、長期間屋外に設置する場合は定期的な交換も視野に入れるべきです。

 

ターポリンとトロマットの違いについて

よく似た用途で用いられるターポリンとトロマットですが、素材も製法も異なっており、同じ製品でも使い勝手は全く変わってきます。

重さの違い

まず、両者の違いとして挙げられるのがその重さです。

ターポリンは布素材を樹脂でコーティングして作る都合上、100%布繊維で出来ている素材と比べるとかなり重量があります。例えば、ターポリンもトロマットも厚みについてはほとんど変わりありませんが、重さについてはトロマットが1m2辺り約160gなのに対して、ターポリンは1m2辺り約440g程度あり、三倍近くもの差があるのです。

生地の重量は製品を屋外設置した際の安定性や、持ち運びする際の取り回しの良さに関わってきます。このことから、重量のあるターポリン製品は設置した際の安定感が必要な常設する備品に、トロマット製品は取り回しの良さが必要な頻繁に持ち運びする備品に、それぞれ向いているといえるでしょう。

生地の質感の違い

もう一つ、両者の違いとして挙げられるのが生地の質感の違いです。

ターポリンの表面は樹脂でコーティングされており、基本的にはツルツルとした光沢あるものとなっています。雨などに濡れても生地自体が水を吸収せずはじく性質を持つため、水に濡れたことが原因で重くなったり、シミができてしまうようなこともありません。

またターポリンは、光に関してもほぼ完全に遮断するため、日よけ、雨よけシートのような使い方も可能となっています。表面を覆う樹脂の種類によっては、生地に防炎性能や耐油性能、耐薬性能などを持たせることもできるため、工場や建築現場などで防災シートとして用いることもできます。

一方、トロマットは100%布素材で構成されていることもあり、質感として布素材特有の色つや、手触りを持っています。ポリエステル素材の特徴としてそもそもしわ、折り目が付きにくく、また色褪せや紫外線にも強いため、かなりの耐久性も備えています。

さらにトロマットは、用途に合わせた生地の選別がしやすい特徴を持っています。トロマットをさらに厚くし物理的な耐久性を上げた「テトロントロマット」、軽量で取り回しの良い「テトロンポンジ」などは簡単に手に入れることが可能で、さらには防炎加工を施した「防炎トロマット」など、同じトロマットでも場面に応じた多数のレパートリーが存在します。

(防炎トロがない)

いずれを用いるにしろ布特有の質感を失うことはないため、「屋外でも使える丈夫な布製品」を探しているなら最適な素材といえるでしょう。

 

\まとめ/

ターポリンは非常に丈夫であり、屋外での常設展示品や火気危険物の存在する場所の展示品を作成するのに、うってつけの特性をもっています。

一方でトロマットは丈夫さと取り回しの良さを兼ね揃えた布素材であり、付け外しの多い展示品や屋内イベントの展示品を作成するのに向いています。ターポリン製品とトロマット製品、いずれかを用意する際は、使用する場所や場面、目的をよく考えて選ぶ事が大切です。

幕夫さんでは横断幕の販売を中心に様々な商品を多数取り扱っております。用途やご予算に応じて最適なサイズや生地などもご提案できますので、気になる商品がある方はお気軽にご連絡ください。


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