横断幕を作るときに「どのフォントを選べばいいのだろう…」と迷われる方は多いのではないでしょうか。実は、フォントひとつで横断幕の印象やメッセージの伝わり方は大きく変わります。本記事では、スポーツ応援やイベントなど、シーンに合わせたおすすめフォントをご紹介するとともに、目立たせるためのデザインの工夫や商用利用時の注意点まで、実践的に解説いたします。読み終えたときには、ご自身にぴったりのフォントを自信を持って選べるようになるはずです。
横断幕のフォント選びで失敗しない3つの基本
ここでは、フォント選びで失敗しないために押さえておくべき3つの基本的なポイントを解説します。
ポイント1 遠くからでもはっきり読める視認性
横断幕は、競技場やイベント会場など、広い場所で遠くから見るケースがほとんどです。そのため、一文字一文字の形がはっきりと認識できる「視認性」が極めて重要になります。
線が細すぎたり、デザインが複雑すぎたりするフォントは、遠くから見ると文字がかすれたり潰れたりしてしまい、内容を読み取ることができません。
ポイント2 利用シーンや目的に合った雰囲気
フォントには、それぞれが持つ「雰囲気」や「イメージ」があります。横断幕を使用するシーンや目的に合わせてフォントを選ぶことで、メッセージに込められた感情や意図をより効果的に伝えることができます。
例えば、スポーツの応援で使うなら力強いフォント、学園祭で使うなら楽しげなフォントを、というようにTPOに合わせた選択が求められます。
ポイント3 メッセージが瞬時に伝わる可読性
「可読性」とは、文字の読みやすさ、文章として内容がすんなり頭に入ってくる度合いを指します。視認性が「文字単体の認識しやすさ」であるのに対し、可読性は「文章としての読み進めやすさ」です。
横断幕に書かれたスローガンやメッセージを瞬時に理解してもらうためには、この可読性が欠かせません。デザイン性を重視しすぎた奇抜なフォントは、一見おしゃれに見えても文章としては読みにくくなることがあるため注意が必要です。
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【シーン別】横断幕におすすめのフォント12選!
ここでは、シーンごとにおすすめのフォントを12種類、具体的な書体名を挙げてご紹介します。
力強さで応援を盛り上げる!スポーツ応援向けフォント
サッカーや野球、駅伝などのスポーツ応援には、選手の士気を高め、観客と一体感を生むような力強いフォントが欠かせません。遠くのグラウンドからでも文字がはっきりと認識できる、インパクトと視認性を兼ね備えた毛筆系の書体が特に人気です。
zen antique soft
力強い動きが特徴のフォントです。「勝利」「必勝」といったスローガンに使うことで、チームの闘争心を掻き立て、見る人に強烈なインパクトを与えます。
玉ねぎ楷書「激」
力強いハネやハライなどが特長の毛筆フォントです。力強さの中にも品格が感じられる書体で、流れるような筆運びが特徴です。読みやすさも兼ね備えているため、品位を保ちつつも力強い応援メッセージを伝えたい場合に最適です。
イベントや学園祭で使いたい楽しいフォント
学園祭や地域のお祭り、音楽イベントなど、多くの人で賑わう場面では、楽しさやワクワク感が伝わるフォントが活躍します。親しみやすく、少し個性的なデザインのフォントを選ぶことで、イベントの雰囲気をより一層盛り上げることができます。
にくまるフォント
その名の通り、お肉のように丸々としたフォルムが可愛らしい、ポップで親しみやすいフォントです。極太で視認性が高いため、模擬店の看板やイベントの案内など、遠くからでも目立たせたい場合にぴったり。子供向けのイベントにもおすすめです。
けいふぉんと!
アニメのタイトルのような、弾むような楽しさが特徴のデザインフォントです。少し斜体がかかった元気なデザインは、文化祭やライブイベントの告知に最適。視認性も高く、イベントの明るい雰囲気を効果的に伝えることができます。
温かみを伝える!入学式・卒業式や送別会に合うフォント
入学式や卒業式、お世話になった方への送別会など、フォーマルかつ感動的な場面では、感謝や祝福の気持ちが伝わる温かみのあるフォントが適しています。誠実で優しい印象を与える書体を選び、心に残るメッセージを届けましょう。
丸ゴシック体
ゴシック体の読みやすさと、角の取れた丸みがもたらす柔らかさを両立した定番フォントです。クセがなく誠実な印象を与えるため、公的な場でも安心して使用できます。「祝卒業」「歓迎」といったメッセージを、優しく温かい雰囲気で伝えます。
手書き風フォント(UDデジタル教科書体、あんずもじなど)
人の手で書かれたような自然な風合いが、心のこもったメッセージを伝えるのに最適です。「UDデジタル教科書体」は読みやすさに配慮されたデザインで、フォーマルな場でも使いやすいです。「あんずもじ」のような可愛らしい書体は、より親しい間柄での送別会などに温かみを添えます。
信頼感と品格を演出!企業PRや展示会に最適なフォント
企業の展示会や商品発表会など、ビジネスシーンで使われる横断幕には、信頼性や専門性が伝わるフォントが求められます。ブランドイメージを損なわない、品格と視認性を兼ね備えた書体を選びましょう。
ヒラギノ明朝
縦線が太く横線が細い、伝統的で美しい明朝体の代表格です。知的で洗練された印象を与え、高級感や歴史のある企業のPRに適しています。横線が細いため、横断幕で使う際は文字を太く(ウェイトを上げる)したり、縁取りをしたりする工夫が必要です。
角ゴシック体(ヒラギノ角ゴ、メイリオなど)
シンプルで装飾が少なく、力強い印象を与えるゴシック体は、ビジネスシーンでの定番です。「ヒラギノ角ゴ」はモダンでスタイリッシュ、「メイリオ」はやや丸みを帯びて親しみやすいなど、種類によって印象が異なります。どんな業種にも合う汎用性の高さが魅力です。
店舗のセールや告知で使いたい信頼感のあるフォント
スーパーの特売や不動産の物件案内など、お客様に情報を正確に伝え、行動を促したい場面では、視認性と信頼感が重要です。多くの人が見慣れているクセのないフォントを選ぶことで、内容が瞬時に伝わり、安心感を与えます。
Noto Sans JP
GoogleとAdobeが共同開発したフォントで、Webサイトをはじめ様々な媒体で標準的に使われています。クリアで読みやすく、誰にとっても馴染みがあるため、見る人にストレスを与えません。ウェイト(太さ)のバリエーションが豊富なのも魅力です。
コーポレート・ロゴ
企業のロゴタイプをイメージして作られたフォントで、どっしりとした安定感と力強さが特徴です。文字の重心が低く設計されており、太めのウェイトは遠くからでもはっきりと認識できます。「大売出し」や「OPEN」といった力強いメッセージに最適です。
おしゃれな雰囲気を演出するデザインフォント
カフェやアパレルショップ、美容室など、お店のブランドイメージや世界観を伝えたい場合は、デザイン性の高いフォントが効果的です。文字そのものが装飾となり、他店との差別化を図ることができます。
筑紫A丸ゴシック
クラシカルで上品な雰囲気を持つ、人気のデザインフォントです。一般的な丸ゴシック体よりも文字の表情が豊かで、懐かしさと新しさを感じさせます。温かみがありながらも洗練された印象は、おしゃれなカフェや雑貨店の雰囲気にぴったりです。
うつくし明朝体
流れるような手書きの筆跡が美しい、優雅な印象の明朝体です。繊細でしなやかな線のデザインは、高級感や上品さを演出したい場合に最適。美容室やエステサロン、ブライダル関連のイベントなどで、洗練された世界観を表現します。
さらに目立つ横断幕にするためのフォント選びのコツ!
フォントの種類を決めたら、次はそのフォントをどう見せるかが重要です。ここでは、選んだフォントをさらに引き立て、横断幕全体の視認性とインパクトを向上させるための3つのデザインテクニックをご紹介します。簡単な工夫で、メッセージの伝わり方が大きく変わります。
文字の太さ(ウェイト)を調整する
遠くからでも一瞬で内容を認識してもらうために、文字の太さ(ウェイト)は非常に重要な要素です。同じフォントでも、太さを変えるだけで視認性や与える印象が大きく異なります。
基本的に、横断幕には太いウェイト(ゴシック体なら「Bold」や「Heavy」、毛筆書体なら元々太いもの)が推奨されます。
伝えたいメッセージの優先順位に合わせて、最も重要なキーワードを一番太くするなど、ジャンプ率を意識したデザインも効果的です。
文字の縁取りや影で立体感を出す
文字に縁取り(袋文字)や影(ドロップシャドウ)といった加工を施すことで、視認性とデザイン性を同時に高めることができます。特に、写真や複雑な柄を背景にする場合や、背景色と文字色のコントラストが弱い場合に効果を発揮します。
影は文字に奥行きと立体感を与え、少し上品な印象やデザイン性を高めたいときに有効です。加工方法によって効果が異なるため、目的に合わせて使い分けましょう。
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加工方法 |
主な効果 |
おすすめのシーン |
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縁取り(袋文字) |
背景との分離、視認性の向上、力強さの演出 |
スポーツ応援、イベント、写真や柄のある背景 |
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影(ドロップシャドウ) |
立体感の演出、デザイン性の向上、高級感 |
企業PR、展示会、店舗の告知 |
背景色と文字色のコントラストを意識する
横断幕のデザインで最も基本的ながら、最も重要なのが配色です。
背景色と文字色のコントラスト(対比)が低いと、どんなに良いフォントを選んでも文字が読みにくくなってしまいます。色の組み合わせを工夫し、誰にとっても見やすいデザインを心がけましょう。
最も重要なのは「明度差(色の明るさの差)」です。明るい背景には暗い文字色、暗い背景には明るい文字色を組み合わせるのが基本です。
例えば、「白地に黒文字」や「黄色地に黒文字」は、明度差が大きく非常に視認性が高い組み合わせです。逆に、「黄色地に白文字」のような明度差が小さい組み合わせは、文字が背景に溶け込んでしまうため避けるべきです。
また、赤と緑、青とオレンジといった補色(反対色)の組み合わせは互いを引き立てますが、彩度が高いと目がチカチカする「ハレーション」という現象を起こすことがあるため、縁取りを入れるなどの工夫が必要です。
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失敗しない!横断幕のフォント利用に関する注意点
デザインが完成しても、フォントの利用ルールや印刷データ作成の決まりを守らないと、思わぬトラブルにつながることがあります。横断幕制作の最終段階で失敗しないために、特に重要な2つの注意点を解説します。
商用利用可能かライセンスを必ず確認!
フォントには、文章などと同じように著作権があり、制作者が定めた利用規約(ライセンス)が存在します。
特に、企業名や商品名を入れたり、店舗のセール告知で使ったりするなど、営利目的の横断幕を制作する場合は「商用利用」にあたるため、フォントのライセンス確認が必須です。
無料フォントであっても、個人利用はOKでも商用利用は禁止されているケースが少なくありません。利用前には必ずフォントの配布サイトや付属のテキストファイルでライセンスを確認しましょう。
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ライセンスの種類 |
商用利用 |
主な注意点 |
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SIL Open Font License (OFL) |
可能 |
フォント単体での販売は禁止されています。Google Fontsの多くがこのライセンスです。 |
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商用利用可のフリーフォント |
可能 |
クレジット表記が必要な場合や、一部用途(ロゴデザインなど)に制限がある場合があります。 |
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個人利用のみのフリーフォント |
不可 |
趣味の範囲や学校の部活動など、非営利目的でのみ利用できます。 |
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有料フォント |
可能 |
購入すれば商用利用できますが、PCへのインストール台数や、映像・ゲームなどへの利用範囲に制限がある場合があります。 |
印刷業者へ入稿する際のポイント
デザインデータを作成し、印刷業者に渡すことを「入稿」と呼びます。この際、フォントに関する設定を正しく行わないと、文字が別のフォントに置き換わってしまう「文字化け」や、レイアウトが崩れる原因となります。
最も確実な対策は、文字情報を図形情報に変換する「アウトライン化」です。アウトライン化を行うと、印刷業者のパソコンに同じフォントがインストールされていなくても、作成したデザインのまま印刷できます。
ただし、一度アウトライン化すると文字の修正(誤字脱字の訂正など)ができなくなるため、必ずアウトライン化する前の元データを別に保存しておきましょう。Adobe Illustratorなどのデザインソフトで簡単に行えます。
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チェック項目 |
確認内容 |
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テキストのアウトライン化 |
すべての文字データがアウトライン化されているか確認します。 |
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ファイル形式 |
印刷業者が指定するファイル形式(AI、PDF、EPSなど)で保存されているか確認します。 |
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データのバックアップ |
アウトライン化する前の、テキスト編集が可能な元データを必ず保存しておきます。 |
まとめ
横断幕のフォント選びは、見た目の印象だけでなく「伝えたい思いが相手に届くかどうか」を左右する大切な要素です。基本となる視認性・利用シーン・可読性を押さえたうえで、目的に合ったフォントを選べば、より効果的にメッセージを伝えられます。今回ご紹介したフォントやデザインの工夫、注意点を参考にしていただき、見る人の心にしっかり響く横断幕づくりにお役立ていただければ幸いです。
横断幕の購入をご検討中の方や、デザイン・設置についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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